チャット型メールフォーム(チャットフォーム)は、あらかじめ会話の受け答えとなる「シナリオ」を作成しておくことで、専任のオペレーターなしにチャットのような接客を実現し、コンバージョン率(CVR)を高めるツールです。このシナリオの出来栄えこそが、フォームの成功を左右するカギとなります。
シナリオ作成に際して、「完璧なものを作らなければ」と難しく考え過ぎる必要はありません。成功の秘訣は、難しく考え過ぎずに、自然体の会話を追求することにあります。ここでは、離脱を防ぎ、成果を最大化するためのシナリオ作成のコツをご紹介します。
1. 基本姿勢は「普段どおりの接客」を再現すること
シナリオ作りで最も心掛けるべきは、実際の実店舗でおこなっているような「普段どおりの接客」で良いということです。
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自然な情報収集の流れ
例えば不動産屋の例のように、お客さんがお店に入ってきてすぐに「ウチはここが強みです!」とアピールすることはありません。まずは「お部屋をお探しですか?」のように自然なやり取りからニーズを聞き出すのが一般的です。
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違和感なく連絡先を聞く
自然なやり取りから聞き出したい情報を聞き、その後に「返答や回答をしたいのでメールアドレスや電話番号を教えてください」と尋ねる流れは、お客さん自身も違和感なく情報を入力していただける自然なプロセスです。
2. シンプルさと丁寧さを両立させる
お客様と会話ができるチャット型フォームでは、あれもこれもと情報を詰め込みたくなるものですが、シンプルにシナリオを考えていくことが良い結果につながります。
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詰め込み過ぎない設計
メールフォームはあくまでもお客様にアクションを起こしてもらう場面です。コンバージョンが目標ならば、なるべく余計な会話はせずにスムーズにコンバージョンへと流れていくことが理想的です。お客様に嫌われてしまっては全く意味がありません。
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丁寧な言葉遣い
チャット型だと親近感が沸くからとフランクになりがちですが、相手はお客様です。丁寧な言葉で質問を投げかけたほうが、お客様へ好印象を与えやすくなるでしょう。
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スマートなアピール
自社の強みを伝えたいときは、こちらからガンガンプッシュするのではなく、お客様が選択した選択肢のその答えでさりげなく伝えるなどのスマートさが必要です。
3. 記入式よりも選択式を多用する
チャットフォームでは、フリー入力欄に入力する記入式だけでなく、選択肢を提示して選んでもらう選択式の質問を設定できます。
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入力ストレスの軽減
特にスマートフォンからのアクセスが多い現状を考えると、なるべくなら選択式の質問を出していった方がユーザーも答えやすくなります。難しい印象を与えないのがチャット型フォームの特長であり、フォームでの答え方もなるべく簡単なイメージで設計すると良いでしょう。
4. 相槌を打ち、共感でお客様との距離を縮める
ユーザーが返答したことに対して適切な相槌を打つことができるのは、従来のフォームにはないチャットフォームの大きな強みです。
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親近感の醸成
例えば、名前を入力してもらった後に「素敵なお名前ですね!」といった相槌を入れることで、お客様と共感しあえ、親近感が沸いてお客様との距離がぐっと近くなります。
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さりげない解決策の提示
相槌の中に、「それならこういう解決策があります」や「弊社の製品はこういう強みがあります」などと、さりげなくアピールする事が出来れば、コンバージョンまでの距離も近くなるでしょう。
5. 不安を取り除き、本気度の高いお問い合わせを増やす
長々と相談事を書いてくるお問い合わせは、ユーザーの不安な気持ちの表れです。チャットフォームは、この不安を解消する仕組みを持っています。
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対話形式による安心感
チャットフォームは一対一の対話形式であるため、ユーザーは企業の担当者と会話をしているかのような感覚になり、強い安心感を得られます。これにより、変なお問い合わせが減り、成約に結び付きやすいお問い合わせが増えるという効果があります。
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次のアクションの明確化
最終的にユーザーがどうしたいのか、企業側が何をしてもらいたいのかを先回りして質問にしていくことも大切です。お問い合わせの後に資料が欲しいのか、打ち合わせが必要なのかなど、「次のアクションを提示」することで、ユーザーがその場で全てを書き込もうとしなくなり、長文のお問い合わせは確実に減ります。
まとめ:シナリオは「生きた接客」として磨き上げる
シナリオ作りの基本は、「シンプルに丁寧に」を心掛け、住所や電話番号など必要な場合を除き、なるべく選択式でサクサク進んでもらい、ユーザーの返答に対して適切に丁寧に相槌を打つことです。
シナリオ作りに不安を感じたり、考え過ぎたりするのは避けるべきです。まずは考え過ぎずに、普段のリアルの接客からシナリオを考えてみると案外うまくいくものです。
シナリオは一度作って終わりではありません。より問い合わせ効果の高いシナリオを作るために、複数のシナリオを用意してA/Bテストを実施するなど、継続的な改善を心掛けることで、コンバージョン率をさらに上げていくことが可能です。