Webサイトでコンバージョン率(CVR)を高めることは、マーケティングの重要な目標です。EFO(エントリーフォーム最適化)は、その目標達成に不可欠な手段ですが、特に近年、チャット型メールフォームが従来のフォームと比較して高いEFO効果を発揮し、離脱率の削減とお問い合わせ数の増加に貢献しています。それはなぜでしょうか。チャット型フォームが持つ、ユーザーの心理に働きかける仕組みと、効率的なシナリオ設計について解説します。
1. 心理的障壁を下げる「対話形式」の優位性
チャット型メールフォームがEFOに優れている最大の理由は、ユーザーのメールフォームに対する心理的な障壁を下げ、フォーム離脱を抑制する効果があるためです。
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メールフォームらしからぬUI
チャット型フォームの見た目は、質問項目と回答枠が並んだ従来型フォームとは異なり、スマートフォンのメッセージアプリに似ています。ユーザーは、友人や家族とメッセージのやり取りをしている感覚で操作することができ、これにより親近感が生まれます。
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安心感のある雰囲気
従来のフォームが「個人情報を渡すぞ」という堅い雰囲気を持つのに対し、チャット型は「会話の中で聞かれたことに答える雰囲気」を提供します。一対一の対話形式がユーザーに強い安心感を与えるため、変なお問い合わせが減り、成約に結び付きやすいお問い合わせが増えるという効果が期待されます。
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必須項目を設けない選択
従来のフォームで必須項目になりがちな名前や電話番号といった、ユーザーがなるべくなら渡したくない情報をあえて必須にしないことで、心理的な障壁を下げています。目的を持って訪問したユーザーは必須項目がなくともきちんとお問い合わせをしてくれるため、入力へのプレッシャーを緩和します。
2. 「普段どおりの接客」によるスムーズな情報収集
チャット型メールフォームは、あらかじめ会話の受け答えである「シナリオ」を作成しておくことで、専任のオペレーター不要でチャットのような接客ができるツールです。
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リアルな接客の再現
シナリオ作りの秘訣は、難しく考え過ぎずに、実際の実店舗でおこなっているような 普段どおりの接客 で良いということです。例えば不動産屋の例のように、自然なやり取りから情報を聞き出し、その流れで連絡先を聞くのはとても自然であり、お客さん自身も違和感なくメールアドレスや電話番号を入力していただけるはずです。
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シンプルさの追求
チャット型フォームは会話ができるからといって、質問や情報を詰め込み過ぎるのは避けるべきです。あくまでもお客様にアクションを起こしてもらう場面なので、変に凝った設問を入れたりせず、シンプルにシナリオを考えていくことが良い結果につながります。また、自社の強みはガンガンプッシュせず、お客様が選択した選択肢の答えでさりげなく伝えるなどのスマートさも求められます。
3. 本気度の高いお問い合わせが増える仕組み
チャットフォームは、単に離脱率を下げるだけでなく、お問い合わせの質を高める点でもEFOに有効です。
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不安の解消と一問一答方式
従来のフォームで長々と相談事を書いてくるお問い合わせは、ユーザーの不安な気持ちの表れです。チャットフォームは対話形式で安心感を与えるため、そのような要領を得ないお問い合わせが減り、一問一答方式から聞かれた内容にだけ答えていく感じになります。
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次のアクションの明確化
企業側は、お問い合わせの後に資料が欲しいのか、打ち合わせが必要なのかなど、最終的にユーザーに何をしてもらいたいのかを先回りして質問にしていくことが大切です。次のアクションを提示することで、ユーザーは「次があるならその時に聞けばいい」と考え、長々とした長文のお問い合わせは確実に減ります。
このように、チャット型フォームは、ユーザー目線で使いやすさを徹底的に追求し、心理的な障壁を低く設計している結果、コンバージョン率が高くなることに徹底的にコミットしています。
4. 柔軟な活用と継続的な改善
チャット型フォームのシナリオは自由に設定することが可能であり、様々な場面で活用されています。例えば、女性専用フィットネスジムの体験受付やリクルートサイトの採用応募フォームなど、幅広い導入事例があります。
また、コンバージョン最大化のためには継続的な最適化が不可欠であり、チャット型フォームにはA/Bテスト機能が搭載されているものもあります。複数のシナリオを用意し、よりユーザーが満足している(問い合わせ効果の高い)シナリオを作ることができ、効果検証に基づいた改善が可能です。